30歳の時に未経験ながらパン職人を目指して転職し、現在10年目です。
前職はプログラマーでしたが、一日中座り仕事で腰痛がひどかったので転職を考えていました。
特に趣味もありませんでしたが、パンを食べることだけは好きだったので、「パンを作る仕事をしてみたいなぁ」と思ったことがきっかけでした。
パン屋で働き始めてから10年経った今でも、休みの日にパンを買いに行くことが多く、他府県でも車で往復3時間くらいの距離までならちょくちょく買いに行きます。
パン職人でも遠くまで行く人は珍しいので、「どんだけパン好きやねん」とよく言われます(笑)
そんな遅咲きのパン好きパン職人の私が体験した、パンを作る側になってからの楽しかったことや、苦労したことなど知られざるパン屋さんの世界を紹介しますので、ぜひ最後まで読んでください。
この記事を書いたのは40代前半の男性パン職人、Kさんです。
未経験でパン職人に転職した体験談
初めて働いたお店は、当時の住まいから徒歩3分にある人気の個人店でした。
特に募集はされていなかったので、直接お店に電話をしてオーナーに取り次いでもらい、事情を説明すると、お店で話をすると言われその日のうちに「明日から来い」となりました。
「3ヶ月間は無給で、4ヶ月目から毎月一律10万円」という条件で雇われました。
オーナー曰く「修行」なので、「そもそも修行の身でお金をもらうこと自体がおかしい」という理屈でした・・・。
パン業界に対する知識もなくあまり下調べもしていなかったので、「こういう世界なのかなぁ」と思いスタートした修行でしたが、様々な理不尽と葛藤に耐えながらも、4ヶ月でオーナーと衝突し退職しました。
結局、給与をもらったのは1度だけでした。
辞めた直後に、求人情報誌から国内大手のパン屋さんのパート募集が目に止まったので、応募したところ運良く採用されました。
個人店の退職から10日程度で、次のお店でのキャリアがスタートしました。
これからパン職人を目指す方は、自分が働きたいお店を見つけても、そのお店の内情などをよく調べたうえで「納得」してから働くべきだと思います。
私は「何を目指してそこで働くのか」「どのくらいの理不尽なら我慢できるのか」など目的や、ネガティブな面をしっかりと洗い出しました。
パン職人として働けるまで2年かかりました
どんなお店で雇われるか、その店でどこの人員が不足しているかによっても違いはありますが、大抵は生地を仕込む作業である「ミキサー」かパンを焼く作業である「オーブン」からスタートする店が多いです。
私はオーブンの仕事からスタートしました。
半年以上オーブンを続けましたが、社員の異動や退職が相次いだ時期があり、おかげで、クロワッサンやデニッシュなど「折込生地」と言われるものをメインに作る「シーター」作業。
さらにそれと並行して、「ミキサー」の作業も教えてもらうことになりました。
運良く1年ちょっとの間に三つのポジションを覚えることができましたが、人材が豊富な職場に行くと、自分から学ぶ姿勢を見せないとなかなか新しい仕事は回ってこないです。
また、作業手順を覚えることはできても、「良い製品」を作ることは別問題なので、作業を覚えてからは今でも毎日が修行だと思って取り組んでいます。
ちなみに生地の仕込みからパンの焼き上げまでを一人でこなしたのは、入社してから二年が経った頃でした。
パン職人になるまで時間がかかる理由
一例ですが、小麦粉は季節によって微妙にコンディションが違います。
同じ粉と水の量で生地を練っていても、固さが全然違うということがよくあります。
そうしてできた生地は成形する時の生地の手触りも違いますし、そうなるとオーブンで焼く時の温度や時間も変化します。
このようにレシピに表せない部分が多いうえに、小麦粉の状態は毎年同じではないので、感覚を身につけるだけでも数年はかかります。
でも、研究熱心な人などは日々の微妙な変化を見つけて、そこをうまく乗り越える方法を探して乗り越えていく過程が好きな方には、とても楽しく感じられると思います。
パン職人の仕事で苦労したこと
最もオーソドックスな製法でフランスパンを作った場合にかかる時間は、生地の仕込み始めから焼き上がりまで約6時間半です。
これだけでもいかに長い時間が必要かわかると思います。
そんなフランスパンが、一番売れる時期がクリスマスです。
曜日の巡りにもよりますが、近年は12/24が一番売れることが多いです。
私が勤めていた会社では、バタール・バゲットなどいろんなフランスパンを合わせて、300本以上売れる店舗もありました。
その店舗では、12/23〜12/25は朝3時から出勤して、掃除を終えて店を出るのが21時前ということもよくありました。
まさに家には「寝に帰るだけ」のような生活でしたが、この時期はみんなある程度覚悟している部分もあり、お祭り騒ぎのような感じで充実感があり、逆に楽しかった印象の方が強いです。
また、国内の大手・中堅のベーカリーでは社内で勉強会などがあります。
私が勤めていた会社でも、月に1回は勉強会がありました。
毎月テーマに沿ってパンを作り提出します。
そのため、休日返上で店に行ってパンを作ったり、休みの前の日に夜中までパンを焼いたりしたことも多々ありました。
私は負けず嫌いな性格とうまくできるようになる喜びが大きかったので、楽しんで取り組めましたが、体力も必要な仕事だと思います。
まとめ
私は未経験からパン職人に転職しました。
年齢的には遅めの転職ではありましたし、「もう少し早くキャリアをスタートできていたら」と考えることはありますが、人の三倍くらい不器用な私でも、国内の某有名チェーンの店舗責任者にはなれたので、そこには少し自信をもっています。
そして何より、好きな仕事に出会えたことが本当に良かったと思っています。
動機は人それぞれ違うと思いますが、悩んでいる人は勇気を持ってチャレンジしてください。
やりたいこと好きなことにはそれだけ価値があると私は思います。
パン職人の仕事内容とやりがいについても、合わせてお読みください。
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