名字が変わるだけの「婿入り」と、養子縁組届を提出して「婿養子」になるのとでは、意味が違うって知っていますか?
婿になることなんてそう何度もあるわけではありませんから、知らないのも無理はありません。
実は僕も婿になった一人で、結婚と同時に名字が変わりましたが、結婚当初は特に気にもしていませんでした。
しかし、婿入りにせよ婿養子にせよ、これだけは知っておきたい押さえておくべきポイントがいくつかあります。
そこで今回は「婿入りと婿養子の違い」と「婿入りまたは婿養子になるメリットとデメリット」についてご紹介します。
婿になるなら知っておかないと後悔することもあるので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
もくじ
「婿入り」と「婿養子」の違い
名字を変更するだけなら婚姻届だけでOK
婿養子と婿入りの違いを簡単に言うと、苗字を変えるだけで親子関係は結ばないのが「婿入り」
彼女の親と養子縁組の手続きをして親子関係とみなすのが「婿養子」です。
婚姻届を提出する際に、婚姻後の夫婦の氏を「妻の氏」とすれば、彼女と同じ名字になります。
つまり、名字を変更するだけなら養子縁組届は提出しなくても良いということです。
「普通養子縁組」と「特別養子縁組」
養子縁組届を提出する場合は、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。
この二つの違いは、自分の親との縁を残すか縁を切るか。
自分の親との縁を残したままにしておくのが「普通養子縁組」
自分の親と縁を切って、彼女の親を自分の親としてしまうのが「特別養子縁組」です。
結婚の場合は「普通養子縁組」が一般的ですね。
マスオさんは婿入りでも婿養子でもありませんでしたが、正式に婿になる場合は「婿入り」か「婿養子」になるかを決める際に、知っておくべきことがあります。
最初は「婿入り」で手続きをしておいて、必要になった時に「婿養子」になるという方法もあります。
また、普通養子縁組の手続きをして「婿養子」になった後でも離縁手続きをすればもとに戻すことも出来ます。
贈与税
どちらを選ぶかでどんな影響があるのか、一番の違いは税金です。
個人からお金をもらうと「贈与税」の対象となります。
養子縁組を組んで「婿養子」になるか、苗字を変えるだけの「婿入り」だけにするかの違いは、「贈与税」に深く関係してきます。
贈与税は1年間にもらった財産の合計額が110万円以下ならかかりませんが、結婚を機に二世帯住宅を建てるケースや、引っ越し祝いでお金を援助してもらうことって考えられますよね。
「購入資金の足しにしなさい」とか言って300万円とか援助してもらった場合、養子縁組を組んでいないと贈与税の対象となります。
しかし、養子縁組を組んでいる場合は直系尊属とみなされ、以下のように非課税分が発生します。
イ 下記ロ以外の場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅 ~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円 平成28年1月1日~平成32年(2020年)3月31日 1,200万円 700万円 平成32年(2020年)4月1日~平成33年(2021年)3月31日 1,000万円 500万円 平成33年(2021年)4月1日~平成33年(2021年)12月31日 800万円 300万円 ロ 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅 平成31年(2019年)4月1日~平成32年(2020年)3月31日 3,000万円 2,500万円 平成32年(2020年)4月1日~平成33年(2021年)3月31日 1,500万円 1,000万円 平成33年(2021年)4月1日~平成33年(2021年)12月31日 1,200万円 700万円
つまり、マイホームの契約締結前に養子縁組届を提出して、非課税額の範囲内で贈与を受ければ贈与税はかかりません。
税金については調べれば調べるほど混乱しがちですが、”知らなかった”で放置していると後で多額の税金を請求される恐れもあります。
事前によく確認したつもりでも、該当しないケースもあるので、事前に相談することをおすすめします。
婿入り・婿養子になるメリットとデメリット
「婿入り」でも「養子縁組」でも、嫁姑関係が無いというだけで奥さんにとっては嬉しいことですよね。
奥さんに兄弟がいない場合は親御さんからも大事に扱われるでしょう。
夫の立場から見た場合はどうでしょうか。
ここでは、名字が変わるだけの「婿入り」と、相続権も発生する「養子縁組」をした場合のメリットとデメリットをご紹介します。
名字が変わるだけの「婿入り」の場合
夫の立場から考えると、「婿入り」の場合はただ婚姻届けを提出しただけにすぎないので、大きなメリットやデメリットは特にありません。
銀行のクレジットカードや契約している保険の名義を変更するなどの手間はかかりますが、これは「婿入り」でも「婿養子」の場合でも必要なことです。
「婿入り」か「婿養子」かというより、マスオさんのように同居するかどうかがポイントになると思います。マスオさんの場合は婿入りでも婿養子でもありませんが(笑)
相続権も発生する「養子縁組」の場合
養子縁組届を提出して直系尊属となった場合は、財産の相続権が発生します。
「普通養子縁組」の場合は自分の親と彼女の親、両方の遺産を相続できることがメリットになります。
同時にデメリットになる場合もあります。
財産が相続されるということは借金も相続されてしまいます。
多額の借金が判明…なんていう可能性も0ではありません。
特に自営業の場合は注意が必要です。
もう一つ押さえておきたいデメリットが、「扶養義務も発生する」という点。
扶養義務は未成年か成人しているかで内容が変わりますが、養親と成人した養子の場合は、相互に「生活扶助義務」を負います。
扶養が必要になった場合に、自己の生計を維持する限りで扶助を行う必要があります。
相互に義務を負うのでメリットと考えることも出来ますが、年齢を考えるとデメリットになるケースの方が多いでしょう。
養子縁組届を提出する前に、彼女の親御さんとよく確認して慎重に決めてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では「婿入りと婿養子の違い」と「婿入りまたは婿養子になるメリットとデメリット」をご紹介しました。
”知らなかった”が原因で損をすることってありますよね。
婿養子は相続が発生するため、後で取り返しのつかないことになるケースもあります。
後悔しないようにするためには、正しい情報を知っておくことが大事です。
相手の親御さんにも正しい情報を伝えて、どうするのがベストかよく話し合いましょう。